こんにちは、塾長の安部です。
今回は前回に引き続いての話です。
最初に結論から言いましょう。
よく、「民主主義はたしかに欠陥だらけだが、現時点で他のどの政治体制と比べても最良である」というような言い回しを耳にされたことがあると思います。
これと同じで、個別指導はたしかに欠陥だらけの指導法かもしれませんが、現時点で個別指導に勝る教育法は存在しないと私は思います。
さて、前回は映像授業に関するお話でした。
ここで復習しますと、なぜ映像授業では効果が上がりにくいか?
理由その1:生徒個人の理解度に合わせた授業になっていないこと
理由その2:映像を眺めるだけなので気が散りやすいこと
理由その3:授業内での「小さなつまずき」を発見できないこと
では、単純な話、そのようなデメリットがあるにも関わらずなぜ映像授業ではなく個人個人に講師をつけて個別指導にしないのでしょうか?
最も大きな理由は人件費の問題です。
もはや一般的な個別指導塾の単価では、社員講師を雇用してマンツーマンの授業を行うことはほとんど不可能です。
ましてや高校レベルの指導ができる社会人の人材を常勤で確保するとなれば、当塾の3倍は取らないと無理かもしれません。
これは決して、よくある大学生のアルバイト講師の方を主体とした塾を悪く言っているわけではなく、業界全体が人件費の安い学生バイトの先生に頼らなければ存在できない構造となってしまっていることへの警鐘です。
もちろんバイトでも全然、いいんです。教える力さえあれば。
それならそれで、きちんと高い時給を提示してその代わり採用試験のハードルを上げ、指導力のある学生さんに来てもらうべきです。
それに対して私が以前勤務していた塾は、個別指導でありながら全員社員講師で運営している稀有な会社でした。
当然そのような塾には各分野のまさにプロが集まり、非常に質の高い教育を提供していました。
しかしやはり、そのような人材を雇用するとなると非常に大きなコストがかかり、マンツーマンはおろか1対2でもギリギリで1対3の授業をしなければ利益を出すことは難しいというのが現実でした。
ここからは私個人の経験上の意見ですが、しっかりと「個別指導」として授業が成立するのは1対2が限界のラインではないかと思います。
悪い言い方にはなりますが、1対3となれば正直なところ、誰か1人は放置となります。
もちろん「それでも成果が出ていれば問題ない」と仰る方もおられるとは思いますが、私はその点がどうしても納得できず結果としてその会社を去りました。
話は長くなりましたが、まとめると、
現在の個別指導塾の業界は次のような負のスパイラルに直面しています。
1:個別指導は人件費が高いのでこれを抑えたい
2:時給の低い学生バイトの講師を雇用する、または1人の講師あたりの受け持つ生徒数を増やす
3:結果として授業の質が低下し、他塾に生徒が流出する
(以下、これの繰り返し)
要するに、きちんとした教育をするためには今こそ「人」に投資すべきですと、今回はそういう話でした。