こんにちは。塾長の安部です。
今回は映像授業について私が感じていることをお話したいと思います。
はじめに誤解のないよう補足しておきますと、ここでの映像授業とはzoom等の通信アプリを用いてリアルタイムの授業を行うオンライン授業のことではなく、あらかじめ録画したものを再生・視聴する授業形態のことです。
特に高校生対象の塾などは大手予備校の講師による映像授業を視聴する形態が最近は多いのではないでしょうか。
私の教室にもよく、映像授業の塾に通っていたがなかなか成績が上がらず移って来られる方がいます。
私自身は映像授業の塾に通ったことはありませんし、またそのような塾で働いたこともありませんが、そのような方から話を聞いたり、またなぜ今まで理解できていなかったのか本人と一緒に考察する中で、映像授業には次の3つの致命的な欠点があると考えるようになりました。
まず1点目は、個々人のレベルに合わせた授業となっていないこと。
また2点目は、受け手側の気が散ってしまいやすいこと。
そして3点目は、これが最も大切なのですが、授業の中での「小さなつまずき」を見逃してしまうこと。
それぞれについて少し詳しく説明させていただきますと、
1点目のレベルに関しては、「いや、同じ単元でも習熟度別にいくつも映像を用意してあるからいいじゃないか」という関係者の声も聞こえてはきそうですが、
実際、100人の生徒さんがいれば100通りの理解力の違いがあり、細かな言葉の使い方、話の持って行き方、説明のスピード…というように、100通りの授業の仕方があるはずで、
「これを聞けば(見れば)誰でもわかる!」というような神授業は原理的に存在し得ないはずです。
2点目は、これも最近私の悩みの種の1つですが、
映像授業は例えばYouTubeの動画を見ているのと同じで、人によってはノートも取らず、パソコンやタブレットの画面をただ眺めているだけです。
するといつの間にか、お菓子に手が伸びます… スマホに手が伸びます… ……
話はそれますが、最近流行の学校におけるタブレット端末の導入も同様の弊害を招いているようです。
生徒さんが授業中にタブレットをいじって何をしているかといえば、ネットサーフィンをしたり、友達と隠れてチャットをしているのが現実です。
(これは学校の先生には言えないでしょうが、私は塾の講師であり成績を付ける立場にないので、正直に話してくれます…笑)
やはり授業の際は、絶対にスマホやタブレットなどの情報機器を机の上に出してはいけません。
映像授業では、そもそもその授業を受けている機器自体が集中力の妨げの要因となっているという矛盾を内包しています。
そして3点目について。
これは逆に、私が自分の授業の際に最も気を付けていることですが、
そこから先の話が分からなくなるきっかけ、授業の中での「小さなつまずき」を絶対に見逃さないことです。
これは対面授業で、かつ個別指導だからこそ、できることだと思います。
映像授業は基本的に説明する側からされる側への一方通行であり、かつ受け手の反応が伝わらないためこの「小さなつまずき」が発見できません。
そうすると生徒さんは気付かないうちに話についていけなくなり、大事なところが抜けたまま授業の回数だけが進んでいき…
結局最後まで受講したのによく分らなかった、テストでも点が取れなかった、という事態に陥ってしまうのです。
ではなぜそのような映像授業の塾が最近は多いのか…?
これについてはまさに業界の闇に斬り込む長い話になりますので、また次回、日を改めて投稿したいと思います。
長々と失礼いたしました。それではまた。