こんばんは、塾長の安部です。
私の友人で英語が非常に堪能な方がいます。
その方は大学時代にイギリスへの留学経験もあり、ネイティブと流暢に会話できるだけでなく英語の論文の読み書きも難なくこなします。
ところがそんな彼も、高校まではそれほど英語ができたわけでもなく、むしろ苦手な方だったと言います。
では彼は、一体どのようにしてそのような高いレベルの能力を獲得したのでしょうか?
今回は、彼の学習法の一部を参考例として紹介してみたいと思います。
語学というのは、誤解を恐れずに言うならば、その基本は語彙力であると言っても過言ではありません。
彼は英語を習得するのあたり、まずは単語力の強化に重点を置きました。
単語と言えば、今はアプリなどもありますが昔はやはり単語帳ですよね。
ここで皆様に考えていただきたいのですが、彼はどんな単語帳を選んだでしょう?
A:難しい単語が沢山載っている上級者向けの分厚い単語帳
B:基本的な単語のみを集めた初心者向けの薄い単語帳
…答えは「B」です。
その心はと言いますと、
Aのような上級者向けの単語帳は、最初開いた瞬間から知らない単語ばかりが出てきます。
1ページに載っている単語のうち、8割~9割は初めて見る言葉です。
「今日は何としても、この1ページを覚えるぞ!」と意気込んで学習を始めても、そう簡単には全部は覚えられません。
必死になってその日の晩までにそのページを全てさらったとしても、翌日にはもう半分は忘れてしまうでしょう。
そして翌日は翌日で、また新しいページを覚えよう…などと計画していても、挫折は目に見えています。
一方、Bのような簡単な単語帳ならどうでしょう?
英語を少しでもかじったことがある方なら、もう知っている単語がほとんどかもしれません。
今度は逆に、1ページのうち8割~9割が知っている単語です。
ところがそんな中でもぽつぽつと、知らない単語が出てきます。
そうすると、知らなかった単語は「へ~、こんな言葉があったんだ」「これってこういう意味なんだ」と印象に残ります。
1回の学習で覚えなければならない単語が少ない分、定着率は高まります。
そして印象に残った単語は使ってみたくなります。
実際に使用することで、よりその記憶が深く脳に刻まれます。
また知っている単語ばかりなのでページ数もどんどん進みますから、モチベーションも上がります。
そして最後まで覚えてしまったら、また次に少しだけレベルの高い単語帳を買えばよいのです。
このような手法は「スモールステップ学習法」と言って、塾業界ではメジャーな指導法です。
要するに「急がば回れ」ということですね。
伝統的に、なのかは分かりませんが、生徒さんに明らかに難易度の高すぎる宿題を出して、授業で解説もろくにしない学校の先生が散見されます。
結局は私たちのような塾の講師が解いて生徒さんに説明はしますけれども、教育的な効果があるのかは甚だ疑問です。
難しいことばかりやらせて生徒を鍛えれば伸びる!という教基法は、私に言わせれば時代遅れです。
各自のレベルに合った教材を適切なタイミングで与えてこそ、真に効果が発揮されるものです。
私の塾ではこれまでも、これからも、生徒さん1人1人と向き合い、その人それぞれに合った内容・やり方を常に模索しながら授業を進めています。